将棋観戦の楽しみ方と、いま話題の「観る将」を解説

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将棋界が賑わっている。

ルネッサンス

ルネッサンス

「棋界の音二郎」豊川孝弘、「棒銀一直線」加藤一二三など、個性豊かなプロ棋士達や「最年少&連勝記録」藤井聡太の大活躍により、2017年は将棋ルネッサンス元年となりそうだ。彼らは将棋界のダビンチであり、ミケランジェロ、ラファエロである。

しかし、本家ルネッサンスを創り上げたのは、芸術家ではない。モナリザに魅了され、ダビデ像に驚愕し、アテネの学堂に息をのむ市民あってのルッネサンスだった。大衆から生まれた鑑賞者の存在が人類の文化をグレードアップさせたのだ。

では将棋ルネッサンスの主人公は誰か。爆発的に増えてきた「観る将」の皆さんである。



 

オンリー「観る将棋」の「観る将」とは?

将棋の研究/イメージ

将棋の研究/イメージ

将棋ルネッサンス以前、「将棋を観る人=将棋をする人」だった。指すからこそ、強くなりたいと思い、観る。観戦は言わば「研究の1つ」であった。だが、これはプロを有するジャンルとしてはおかしな状態である。

リングに上がったことがない多くの人が、ボクシングを観る。まわしを着けたことがなくとも、大相撲を楽しむ。ほとんどのカープ女子は、自らバットを振らない。「成田屋」と声をかける通な客でさえ、くまどりをしていない。

オンリー「観る」だ。

「観る将」は、まさにオンリー「観る将棋」を楽しむ人々なのである。指さないどころかルールも全然知らないという強者だっている。

「観る将」のどこが楽しいのか

駒の動かし方も知らないで、観ていて楽しいのだろうか? そうお思いの方も多いだろう。ガイドもその「くち」だった。

しかし、我にかえって造語を許してもらうならば、ガイド自身も「観るラグ」である。ラグビールールはチンプンカンプンだが、観戦を楽しみにしている。ラグビーをよく知る人からすれば、どこが楽しいの? ……だろう。だが、楽しいのだ。

今回はそんな「観る将」をガイドする。

プロ棋士の対局を観戦する方法は?

観る将さん/イメージ

観る将さん/イメージ

プロの将棋は、そもそもどうすれば観戦できるのだろう? そこからガイドしよう。まずはメジャーな4つのメディアを紹介する。

■NHK杯テレビ将棋トーナメント

【1】テレビ:毎週(日) 午前10:30から午後0:00、Eテレでトーナメントを放送している。

【2】地上波ただひとつの放送(無料)。

■囲碁将棋チャンネル

【1】CATV、スカパー!、ひかりTVで放送される囲碁将棋の専門チャンネル(有料)。

【2】銀河戦や女流王将戦などが観戦できる。

■ニコニコ動画・将棋公式生放送

【1】ネットで、王位戦を除くタイトル戦や叡王戦などの対局を生放送。

【2】視聴にはニコニコ動画のアカウントが必要。

■abemaTV将棋チャンネル

【1】ネットで王位戦を中継。

【2】「藤井聡太炎の七番勝負」のようなオリジナル企画もある。

さあ、これであなたも「観る将」の入り口に立った。しかしである。ここからが肝心だ。ルールを知らずに楽しむという、至難の業に取り組まねばならない。ガイドは将棋を知っている。だから「観る将」を語ることは難しい。そこで、ガイドの知り合いのOLさんに登場いただこう。

「観る将」に聞く

「えーっ!オールアバウトに出ちゃうんですかぁ。すごぉい。実名、全然OKですぅ」との言葉ももらったが、やっぱり仮名で紹介しよう。幸子(仮名)さんは家電量販店に勤める20代の女性、そして「観る将」そのものなのだ。

――幸子さん、そもそも、どうして将棋観戦を初めたんですか?

きっかけは、テレビで観た「タカちん」なんですぅ。

――えっ「タカちん」?

やだ、ごめんなさい。だじゃれの「タカちん」ですよぉ。

――だじゃれ? もしかして豊川孝弘七段ですか!

うなずく幸子さん。

タカちんのだじゃれって最高でしょ。それで、始めたんだけど、ノリちんを知ったんです。

ノリちん……。怪訝そうな顔をしてしまったのだろう、幸子さんが気を遣ったように解説してくれた。

ノリちんも本当はタカちんなんだけど、それじゃあ、タカちんが二人になるので、ノリちんにしたんですぅ。

勇気を出してノリちんの正体を聞いてみた。橋本崇載(たかのり)八段のことであった。なるほど、本当はタカちんだ。

どうやら「観る将」のスキルの1つに棋士をニックネームで呼ぶことがありそうだ。しかも、オリジナルな。ちなみに実名OKの幸子さんから棋士の実名が語られることはなかった。

さて、橋本崇載についてガイドしよう。日本の伝統文化のくくりを突破。金髪パンチパーマという出で立ちで登場。度肝を抜いた棋士だ。時にモノマネも披露する橋本の解説も面白い。加藤一二三の真似など絶品であろう。

その加藤についても幸子さんは続けた。


今日のひふみん、おやつに何食べるのかなって。それも気になっちゃって。

「観る将」は加藤の棒銀より、おやつに注目するのである。

幸子さんは終わらない。


あと、シンちゃんのカツラですぅ。いつ取るのって。

佐藤紳哉七段だ。彼はジャニーズ風の髪型をしているが、実はかつらであり、それを時々すぱっと取ってみせるのである。初めてみた人は、その衝撃に絶句する。慣れてくると、再度観たいと願う(らしい)。

この後も幸子さんはエンジン全開。やれ、イケメンは○○だの、○○の指が綺麗だの、まったく盤上の戦いとは無縁の鑑賞法を語ってくれた。

すごい。正直にそう思う。まったく新しい視点を教わった気持ちだ。

ふと思う。14世紀以前、宮廷や知識人のためのものであった文化。それを、自らのたもとに引き寄せ、後の人々にルネッサンスと呼ばしめた市民。

彼らは、こう語り合ったのではないか。

「ダビちゃんのモナリザってすごいぜ。どこに立っても、おいらを見つめてるんだぜ」

2017年、観る将の皆さんによって、将棋文化はルネッサンスを迎えた。

(了)

追記

「敬称に関して」

文中における個人名の敬称について、ガイドは下記のように考えています。

(1)プロ棋士の方の活動は公的であると考え、敬称を略させていただきます。ただし、ガイドが棋士としての行為外の活動だと考えた場合には敬称をつけさせていただきます。

(2)アマ棋士の方には敬称をつけさせていただきます。

(3)その他の方々も職業的公人であると考えた場合は敬称を略させていただきます。

「文中の記述に関して」

(1)文中の記述は、すべて記事の初公開時を現時点としています。





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