「幸福の国」ブータンの2つの顔

Home » 政治 » 「幸福の国」ブータンの2つの顔
政治, 海外 コメントはまだありません



 スマートフォンとソーシャルメディアの時代にあって、外国人の旅行がいまだに厳しく制限される国がある。四六時中監視の目が付きまとう北朝鮮やトルクメニスタンは、政権が何かを隠したいのだろう。だがヒマラヤ山脈の東端にある人口80万人足らずの秘境ブータンの場合、付き添いガイドはあくまで国民の幸福を守るためにある。

 ブータンを訪れる旅行者は皆、1日200~290ドルの滞在費とガイド同行が義務付けられる。旅行中に自由を著しく制限されるわけではないが、「コースから逸脱する」ことは許されない。

 99年までテレビやインターネットすら禁止され、世界から隔絶されていたブータンは、72年に独自の指標GNH(国民総幸福)を提唱。環境や文化的価値観の保護など国民の幸福度を高める政策を進めている。

 だが幸福の受益者は、あくまで国民に限られるらしい。90年代にはネパール系少数民族ローツァンパを脅威と見なし、国外追放を強行。隣国インドから出稼ぎに来る労働者は、極端に安い賃金で単純労働を担っている。

 幸福の国のもう1つの側面は、旅行者からも幸福量指数からも巧妙に隠されているようだ。

Photographs by Vlad Sokhin-Panos

<本誌2015年10月27日号掲載>

【お知らせ】

『TEN YEARS OF PICTURE POWER 写真の力』

PPbook.jpg本誌に連載中の写真で世界を伝える「Picture Power」が、お陰様で連載10年を迎え1冊の本になりました。厳選した傑作25作品と、10年間に掲載した全482本の記録です。

スタンリー・グリーン/ ゲイリー・ナイト/パオロ・ペレグリン/本城直季/マーカス・ブリースデール/カイ・ウィーデンホッファー/クリス・ホンドロス/新井 卓/ティム・ヘザーリントン/リチャード・モス/岡原功祐/ゲーリー・コロナド/アリクサンドラ・ファツィーナ/ジム・ゴールドバーグ/Q・サカマキ/東川哲也/シャノン・ジェンセン/マーティン・ローマー/ギヨーム・エルボ/ジェローム・ディレイ/アンドルー・テスタ/パオロ・ウッズ/レアケ・ポッセルト/ダイナ・リトブスキー/ガイ・マーチン

新聞、ラジオ、写真誌などでも取り上げていただき、好評発売中です。





コメントを残す